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2005,04,09, Saturday
リニューアル
そろそろケータイの機種変更をと思い、データの整理をしていた。着メロやらなんやら、著作権の無いものは外部メモリにバックアップが可能で、新しく乗り換えようと考えている機種は現行の後継にあたるので大半のデータは引き継げる。
カメラで撮影した写真は全てバックアップせず残しておく事にする。笑顔、笑顔、笑顔笑顔笑顔笑顔...もはや見たくもないが、かといって自分の手では消せない。メールの送受信履歴に至っては一年前の物がまだ残っている。一年前、騒々しい都会から離れ、静かな田舎町に引っ越して、新しい暮らしへの期待に胸を膨らませていた頃だ。家までの上り坂が大変だとか、今夜のおかずは何だとか、今日は何時頃帰れそうだとか他愛も無いやり取りがニコチャンやハートの絵文字に飾られて毎日毎日繰り返されている。これも自分の手で消すことなど出来ない。誰かからメールが届く。すると一番古い思い出が消えて無くなる。慌ててログが流れないように全てのメールにロックをかける。何をしているのか。どのみち数時間後にはデータは消去され新しい機種に変わっているというのに。 まだ読み続けている。もう読みたくないのに、手が止まらずにこの一年間をトレースし続けている。だが、やがて限界に達した。何かが切れた。次の瞬間、読みかけのメールを削除していた。残った履歴も、一通一通削除し始めた。命を削っているような感覚だった。枯れたと思っていた涙がまた流れていたような気がする。写真も全て削除した。記憶は全て、自らの手で埋葬した。 もうこの際だ、ケータイ屋に持ってく前にアドレス帳以外の全てのデータを消しておこう。バックアップは済んだし、消すべきものは消した。ついでに残りのデータも自分で処分しておくのだ。パーソナリティの感じられない、極めて初期出荷時の状態に近づけてやろうと思い、壁紙・着メロなど、次々にデフォルトに戻していく。途中から、キー操作音がピコピコ鳴るようになった。確か最初はそんな状態だったように思う。が、そんなトコを触った記憶はない。ふと嫌な予感がしたのでアドレス帳を開いてみると、見事に全てのレコードが消えていた。マジで完全に初期化してしまったらしい。 エライこっちゃ。固定電話は引いていないのでケータイだけが外部とのコミュニケーションツールなのだ。電子メールも使えなくはないが即時性には欠ける。「連絡」だけならいいのだが、リアルタイムで声が聞こえるのとそうでないのとでは違いが大きい。言い知れぬ孤独感に襲われる。外界から隔絶される感覚だ。瀕死状態の心にトドメの「つうこんのいちげき」を食らった気分、いや「ふしぎなおどり」でMPを吸い取られたような気分だ。踊ったのは自分なのだが。しばしの放心状態の後、何とか気を持ち直した私はメールで連絡のつく友人に先述のマヌケっぷりを伝え、ケータイに連絡してもらうよう依頼した。 これでやるべき事はやった。ケータイ屋に向かい機種変更の手続きを済ませよう。店に入り、担当の店員に事の経緯を話すと、「あちゃー、コイツやっちゃったよ」といった趣で話を聞いてくれた。よほど私がガッカリ顔だったのか、「以前に使っていた本体が残っていれば、そこからアドレス帳を移行します」との事。残念ながら以前のものは処分済だ。また、アドレス帳も外部メモリにバックアップできる事も教えてくれた。正直シランカッタ。これは良い事を聞いた。たぶん常識なのだろうが、帰ったら早速試してみよう。 データがほぼカラッポであったため、機種変更作業は5分程度で済んだ。しばらく料金プランの見直しについて相談し、店を後にする。帰る道すがら、新しいケータイをいじりたおす。同じ系統の機種なのでインタフェースはほぼ同じだが、ガワのデザインが変わるだけでも気分的には随分違うものだ。そうこうしてアジトに帰りついた私に再び事件が起こった。ケータイの外部メモリを見失ってしまったのだ。出る前にケータイから抜いておいたのだが、ハテサテどこに置いたのやら。抜いた時は茫然自失状態であったため、当時の記憶はアヤフヤだ。空間内のカオス度をより一層高めるかの如く探しまわる。が、無い。無い、どこにも無い。 私はふしぎなおどりをおどった! |
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