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めがね部
以前「めがねブーム」というのがあった。のかどうかは実のところよく知らないのだが、何かのメディアでそのような記述を目にした覚えがある。普段コンタクトな人もめがねをかけ、全然必要でない人はダテめがねをかけていたのだろう。

斯くいう自身もダテめがねを愛用している。しかし断じて、一過性のブームに乗っかってボクもかけてみちゃいましたエヘヘってな軽いノリではない。苦節ン十年にも及ぶめがねへの熱き想い、その結実なのである。

我が視力は両眼ともに2.0。チビッコ時分から変わらずである。テニスプレイヤーでもモンゴル人でもない身としては、目がよい方といえる。めがねをかける必要がなかったのだが、それでもめがねに異常な愛情を注いでいた。

幼き頃、母に連れられ視力検査にいった先での事。検査の結果、上述の通りめがねは不要と診断された。これに対し幼き私はキレた。デパートでオモチャをねだる駄々っ子の如く、めがねが欲しいめがね買ってめがねめがねー、と泣き喚いたのだ。

母は呆れて叱るのも忘れるほど。担当医も苦笑して「じゃあもう一回調べてみようねー」となだめる。で、意味のない再検査と相成った。ここで出鱈目な答え方をすればいいんだ、とかそういった機転のきかぬアホであった私は、2度目もほぼパーフェクトに近い結果を出す。

いろんな意味で理不尽な想いを抱えたまま病院から連れ出される私。以後もずっとめがねに対する憧れは消える事がなかった。とまあ、これくらいめがねが大好きなのだ。一つだけゆっとくが、めがねっ娘が大好きなのではない。

じゃあさっさとダテめがね買えばいいじゃん、と訝られる向きもあろうかと思う。だが、いざめがね屋に行っても「ハァ?ダテめがね?ったく、ココはお前さんみてぇなおめめ野郎が来るトコじゃねんだ。とっとと帰ぇんな!」とか思われたらと考えただけで尻込みしてしまっていたのだ。

そこにきて件の「めがねブーム」到来である。時代が変わった。ダテめがねでも買いやすい風潮が出てきた。と勝手に思い込んだ私はついにめがね屋へ向かったのだ。でもやっぱりちょっと怖かったので、友人に付き添ってもらったのだが。

こうして私はとうとう念願のめがねをゲットした。あの時の達成感たるや筆舌に尽くし難いモノがある。ブームが去った今も、我がめがねは現役バリバリ大活躍中である。周囲からは「インテリヤクザ」「サイドビジネスマン」「わいせつ教師(数学)」などと散々ないわれようだが、本人はいたくお気に入りなのだ。

特にこれからしばらくは、眉毛もアレな事になってるしナウなヤングのマストアイテムである。
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